かんさつ日記

ヴィジュアル系バンドのライブレポートを中心に放流中。

2021.06.05 DIR EN GREY “疎外” at 東京ガーデンシアター

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↑鏡張りでカッコいいのにプライバシーに配慮するとぼかしだらけになってしまう!

【日程】2021年6月5日(土)
【会場】東京ガーデンシアター
【時間】開場17:00 開演18:00
【料金】全席指定 9,800円


2021年5月6日に予定されていたライブの振替公演であり、約1年4ヶ月ぶり(国内では約1年7ヶ月ぶり)の有観客ライブでした。
会場は2020年6月にオープンしたばかりでまだピカピカです。

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ロッカーはハンドバッグが入るかな?くらいの小さめサイズに見えたけれど数はたくさん。駅周辺やホテルまわりにもあるので、ロッカー難民にはなりにくそう。
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ホール内は3階建て構造なんですが、アリーナが2階、2階席が3階、3階席が4階にあります。
素人耳ですが音はかなりいいと思います! この日わたしは3階席だったのですが、各プレイヤーの音がクリアでありながらヌケと広がりも感じられて心地よかったです。肉眼でメンバーの表情をとらえることは難しいものの、人の頭で遮られたりということもなくステージ全体が見やすかった。アリーナはスタンディング形式にもなるそうなので、新木場やZeppとあわせてこの会場でやることも多くなるのかなと思いました。


ライブは18:10を過ぎたころに暗転。
開演前に暗幕を数人のスタッフさんがガッツリ押さえていたのですが、なんと「DOZING GREEN (Acoustic Ver.)」で板付きスタートでした。Dieさんが赤い(衣装)!


ある種この「DOZING GREEN (Acoustic Ver.)」は序曲のような印象でした。というのも次に演奏されたのが「絶縁体」で。静謐なアルペジオが響きわたり、いよいよDIR EN GREYが始まるのだな……と緊張感が高まっていく。音が良すぎて“信じる事!”の楽器隊コーラスがめちゃくちゃ聴こえる。“信じる事!” “そうそれだけだ!”の掛け合いが生々しく、メンバーがいる!というのを実感できた瞬間でもありました。アウトロでは溶けかかった氷のDIR EN GREYロゴがバックヴィジョンに映し出され、大きな拍手が(ヴィジョンも鮮明でとってもきれい)。


「空谷の跫音」はボロボロ泣けてしまった。前に聴いたのいつだったか忘れてしまったんだけど、こうやってホールでじっくり聴くと余計に沁みる。サビでは夜空に浮かび上がるコムローイの映像。これがスタンド席から見下ろすと本当に光が上空へ上がってきているように見えてとても美しくて。バンドを超えた神聖な儀式のようで、ぐわーっと空間が浄化されていくようだった。


「人間を被る」からはいわゆる激しい曲ゾーン。声を出さなければスタンディングOK、手あげるのOK、ヘドバンOKだったのでフロアのエンジンがかかり始める。この曲はMVがちょこちょこ映し出されていた気がします。


「Devote My Life」は新規映像。禍々しい緑色のオリンピック・シンボルがドロドロと溶けていったり、『進○の巨人』に出てくる巨人のような大きな赤ん坊(CG)が、燃える街の中で空から降ってくる紙幣や金貨に群がって取り合いをしていたり。


「Ranunculus」からはまた雰囲気がガラッと変わる。曲が進むにつれて、京さんの歌声が嗚咽のように変わっていって、床に崩れ落ちて声をしぼり出す。


「谿壑の欲」は一部歌詩がヴィジョンに映し出されていたのですが、京さんは歌詩替えで歌っていました。“血溜まりの中 眼を覚まし”のところでお立ち台にポツンと立っていて、表情は遠くて見えないのにオーラがすごくてニタァと嗤っているように見えた。ラストの“そして次に誰かがこう言うの”の部分を京さんが“こう叫ぶ”と歌い替えて「早く死ね!」とシャウト。


「The World of Mercy」は外枠の黒塗りで規制されつつもMVがバックに。中盤、自傷してしまうのではないかと思うくらい京さんが鬼気迫る雰囲気でハラハラ(アンコールで明るくなってから気づくのですが、このときに血糊?で真っ赤になっていた模様)。マイクを床にゴッ!と落としたりもこの曲のときだったかなと思います。会場の音が良いために、スタンド席にいてもすぐ隣でマイクを落とされたかのようにクリアに聴こえて、わたしも近くにいた人もビクッとなってました……。


そして新曲の「朧」。イントロで糸のように細く赤いレーザーが交差する。バックにはMVが流れていました。すでに観たことのある映像でありながら、インパクトがあるので映像観ちゃうんですよね。そっちに引っ張られて正直あまり記憶がない! ちなみにお立ち台の下にはこのMVに出てきた大きな腹と足?のオブジェがありました。終演後明るくなってから気づくという。


本編ラストは「かすみ」「朧」には「リンクしているのかな?」と思わせる歌詩が存在するためそこまで驚くことではないのかもしれませんが、わりとフラットな状態で観ていたので不意をつかれてうわ〜〜〜〜〜!となりました。映像は大きな枝ぶりの木と人々の影絵。



アンコールももちろん声出しはなしで拍手(手拍子)のみ。本編中もここは世界重視のターン!ってところ以外はほぼ1曲ごとに拍手が起きていました。


メンバーが再び姿を現し、京さんがお立ち台の天面にマイクをガリッと擦りつけるとフッと静かになる客席。
「Followers」では京さんとともにオーディエンスが手を翳す。


「OBSUCURE」からは徐々にヒートアップ。ヘドバン率高し。この曲のときか忘れちゃったけれどToshiyaさんがベースを大きく持ち上げてぐるんぐるんと2回転していたのが大迫力でした。映像はMVがところどころ挟み込まれていて、曲は再構築されているものの少し懐かしい気持ちに。


「落ちた事のある空」ではモノクロでメンバーの5分割映像。このとき初めて薫さんが、かっちり固めたヘアスタイルであることを知る。激シブ。「Sustain the untruth」では京さんが上手→下手へ移動し、顔をあげて2〜3階席へも檄を飛ばす。


コロナ以前のライブでは最後に「ひとつになれるか!」というコール&レスポンスがあるけれど、この日は「ラスト!」と京さんが何度か叫び、それに呼応するかたちでオーディエンスが思い思いに拳を突き上げたり、拍手を贈ったりするスタイルでした。
ラストに選ばれたのは激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇。今度はカラーの5分割メンバー映像。このときに京さんがいつのまにか血まみれなことを知る。上手にきた薫さんが、Dieさんに蹴りを入れるフリをする微笑ましい場面も。


ピックやペットボトルを投げ入れることももちろんなしで、客席から贈られる拍手にメンバーが手を挙げて応え終演でした。Toshiyaさんはお腹に手を当ててお辞儀をしていて紳士……。京さんはお立ち台の上で両手を高く挙げ拍手していました。


メンバーがステージを後にすると暗転し、ヴィジョンに告知映像が。アマゾンの奥地ような川を探検隊?がボートで進んでいくようなシーンが映し出されたあとに、12都市16公演の秋ツアー“TOUR21 DESPERATE”が発表されました。
“DESPERATE”には「自暴自棄の」「死に物狂いの」「絶望的な」といった意味があるようなのですが、調べてみた中では「やけくそな」という表現が自分の中ではしっくりきました。閉じこもって内へ内へというよりも、やれることをやるだけという「闘気」をライブを観て感じたので。


やはり生のライブは、自宅で映像を観ることとはまったく異なるものだということを再確認した夜でした。疎外された世界に1人きりだと思っていたのに、いざ外に出てみたらこんなにも同志が!というような感動がある。先行き不透明な世の中ですが、また無事に再会できることを切に願うばかりですね。

【SET LIST】
01. DOZING GREEN (Acoustic Ver.)
02. 絶縁体
03. 空谷の跫音

04. 人間を被る
05. Devote My Life
06. CLEVER SLEAZOID
07. DIFFERENT SENSE
08. 赫

09. Ranunculus
10. 谿壑の欲
11. The World of Mercy

12. 朧
13. かすみ

ーENー
14. Followers
15. OBSCURE
16. 落ちた事のある空
17. Sustain the untruth
18. 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇